| ◎解説
鐵次郎は空を見上げて、あれが沙やの言っていた受け月なのだろうか、と思った。なるほど月は何かを受けるように盃の形をこしらえている。
鐵次郎はしばらくその月を見つめていた。そうして急に手にしていた紙袋を橋の上に置くと、月にむかって両手を合わせた。何を祈ればいいのか。わからなかった。取りあえずさやかの婿が順調に回復するように祈った。(本文「受け月」より)
表題作ほか、野球に関わる人びとを通じて人生の機微を描いた連作短編集。感動の直木賞受賞作。
| |
   |
左記のオンライン
ブックストアをクリック
して購入できます。 |
|